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イラスト制作の基礎知識
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パースを使って正確に背景の形を作り出す上で絶対に知っておくことがいくつかあります。背景を描く前に一度確認しておきましょう。
パースの基本の用語として多数出てくるうちの一つがHLという単語です。HLとはホリゾンタルラインの略称で水平線を意味します。水平線ってどういうこと?なんて思うかもしれませんが、つまりは目線の高さのことですね。寝転んでいても高いところからでも、海の地平線は同じ目線の高さに来ます。
正直、文字で書いてもわかりにくいので実際に触れてみて慣れるほうが早いです。HLとはどのようなものなのか軽く頭に入れておくだけで十分です。
HLの基礎知識として、目の高さよりも上にあるものは底の面が見えて、逆に下にあるものは上の面が見えます。また視線に対して真正面にあるものは正面しか見えず、左にあるものは右側面が見えて、右にあるものは左側面が見えます。最低でもこれは覚えておきましょう。
私たちは3次元に生きています。3次元とは水平(横)・奥行き(縦)・垂直(高さ)で出来ています。いずれの方向の線も平行線であれば交わることは絶対にありません。
ですが、イラストに立体として表現するためには交わらないはずの線を交わるように描かなくてはいけません。この平行線が交わる点をVP(消失点)と呼びます。VPとはバニシングポイントの略称になっています。
VPはかならずHL上に存在します。実際に背景を描く場合はこのVPを自分で決めてそこからパースラインを引いていきますが、写真などからもVPはみつけることは可能です。実際に線を引いて交わる点を探せばよいだけです。
初心者が陥りがちなミスとして以下のような箱を描いてしまうことがありますが、奥へすぼまっていくはずの線が平行のままで、奥行き感が出ておらず、奥が大きくなっているように錯覚してしまいます。消失点がないとこのようになってしまいます。
透視図はフレーム、つまり枠のようなものと認識するとわかりやすいです。見る対象物に対するフレームの角度で背景(部屋)の見え方が変わってきます。1、2、3点透視図には見え方に違いが出てきます。どのようなものがどの透視図なのか、イラストや背景を見ただけでわかるようにしておきましょう。
正面からまっすぐ見ているとこの透視図になります。HL上にVPが1つのみある状態ですね。奥行きのみに距離がついて、VPへと向かう斜めの線になります。フレームと平行な線は透視図でもフレームと平行な線になります。(垂直方向、水平方向)
正面から向かって斜めに見た場合は、2点透視になります。VPはHL上に2つです。2点透視の場合、水平方向・奥行き方向ともに斜めにあるので距離がついてそれぞれのVPへ向かう斜めの線になるのです。垂直方向のみフレームと平行になります。
外で建物を見ている場合も同様に水平方向と奥行きに距離がついて斜めの線になります。水平方向は正面よりになるので、距離がゆるめにつくのでVPは遥か彼方の遠い位置にあり、逆に奥行き方向は距離がきつめにつくのでVPは近い場所になります。(見る位置を変えると逆になりますが、ほとんどの場合どちらかのVPは遠い位置にあることがほとんどです。)
3点透視の場合は下から見ているようなイメージを持てばわかりやすいです。水平・奥行き・垂直の3方向ともフレームに対して斜めになるので、全ての方向に距離がつきます。垂直方向のVPは視線の垂直線上になります。3点透視に関してはわかりにくいことが多いので大体のイメージでつかんでおきましょう。
背景で特に大事なのがスケール感です。スケール感(=遠近感)とは物事の大きさや規模を適切に感じることができることを指します。パースを学ぶことは遠近感をきちんと表現しなくてはいけません。どのようにすれば遠近感が出せるのかきちんと把握しておきましょう。
遠くなるほど幅が狭くなっていきます。全てのものは遠くに行くほど小さく見えます。
遠くに配置したものを同じ大きさで描くと距離感が狂います。背景では絶対にやってはだめです。
背景のパースを引くときだけでなく、小物類や家具などを描く際にはパースラインから正方形が取れるようになることが大前提です。正方形が描ければそこから奥行きを求められるからです。そのため正方形を描けるようにしておきましょう。
「正方形」と書きましたが、何も確実に正方形を描くのではなく正方形に見えるように描けるかが重要になります。ポイントは水平方向の1辺の長さに比べて、奥行き方向の1辺は短くなることでしょうか。必ず横長になります。
一見左は正方形に見えるかもしれませんが、右端を見ると長方形になっています。VPから離れれば離れるほどひずみが大きくなるので、よくわからないうちはVPから離れた部分にも描いてみると良いです。
壁や床のパースを取る上で非常に重要になってくるのが、マスの増殖・分割です。増殖をすれば気軽に距離を伸ばせますし、分割はある長さのものを等間隔で割り込みたいときなどに使えば、距離に応じた正しい分割が出来るようになります。背景を描く上で頻繁に使うことになるので必ず覚えておきましょう。
増殖法はとても簡単。手前に3マス分の正方形を描き、どれか1つの正方形の対角線を延長し、他の正方形のVPへ向かうパースラインとの交点を取れば、奥に同じ大きさの正方形が増やせます。これは1点透視でも2点透視でも同じ理屈で増やせます。
床のグリッドでなく奥行きを増やしたい場合は、高さを2等分してVPへ結び、奥の高さの真ん中を通るように対角線を引けば同じ距離が作れます。
四角の対角線の交点がちょうど中心になるので、これを通る水平線を引けば2等分できます。
2等分して出来た小さい四角の対角線を引き、2等分時の対角線との交点が3等分の位置になります。
手前の高さを5等分してVPへパースラインを引きます。このときの対角線との交点が5等分の位置になります。このやり方は、手前の高さの等分の数を変えてあげれば全ての分割が可能になります。
楕円を描く時はまず正方形を取ってから、内接する円を描きます。まず正方形の対角線を取り、内接する4点を求めます。後はその点にあわせて曲線を描けばOKです。
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