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イラスト制作の基礎知識
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ストーリーづくりの基本は起承転結ってよく聞くけれど、具体的にどうやってつくっていけばいいの?今回は物語づくりの基本、起承転結からストーリーをまとめるコツです。
4コマの基本と言われる起承転結ですが、ストーリー作りにおいても大切な基盤です。
起承転結を意識しないで行き当たりばったりでつくってしまうと、何が何だか、わかり辛い話になってしまいます。わかり辛い話=読者にとってつまらない話です。わかりやすくなくては面白さは伝わらないのです。
変化球に挑戦する前に起承転結という物語の基本をしっかりマスターして、読者に伝わりやすい漫画を目指しましょう。
起承転結の起ははじまりであり、物語の自己紹介です。「この漫画はこういうお話ですよ!」と読者に伝えて、しかもそれが読者のハートをガシッと掴むものでなければなりません。ここが成功するかどうかが漫画を読んでもらうための鍵になります。
転が1番重要と思われがちですが、漫画の溢れかえってる現代では実は起で読者をいかに惹きつけ読んでもらえるかどうかが最重要。という事で、今回は起に1番力を入れて解説させていただきました。
起は物語の自己紹介。起をつくる基本のポイントは“何を説明すべきかをハッキリさせて”“その説明を目一杯詰め込む”事です。もちろんセリフなどの文字で説明するのは絶対NG。絵や演出、エピソードで説明を“魅せる”んです。
具体例をあげていきます。
例えば主人公の男の子とヒロインの女の子の体が入れ替わった話なら、「ある朝目覚めたら僕の体が女になっていた」なんてセリフで説明はNG。朝トイレに入って叫び声を上げたり、鏡を見て驚いたりといった演出で“いつ、どこで、どのタイミングで入れ替わり、主人公はどう感じたのか?”を一瞬で説明します。あらゆる情報は上手くいけば1コマに全て詰め込めます。
さらにそれに対する主人公のリアクションで、大げさに叫ぶのか、意外と無反応なのか、それともスケベ心全開になるのかなどで、“主人公はこんなキャラですよ”という説明もできます。パジャマで寝ているのか、Tシャツにハーフパンツなのか、半裸でパンツ一丁なのかでもキャラが立ちます。部屋のインテリアやスクール鞄、筆箱ひとつからもキャラクターが出て、それらは全てキャラの説明=自己紹介になります。細部にまでこだわりましょう。
さらに、驚いた家族がかけつけて来れば家族構成の説明ができますし、ヒロインの反応や、学校でのクラスメートのリアクションで主人公の学校での立ち位置の説明もできます。
クラスメートにびくつくヒロインの体の主人公、いじめっこに呼び出される主人公の体のヒロイン。心配だけど何もできない主人公と強気でいじめっ子についていくヒロイン。これだけでこの物語のテーマ、この物語において解決するべき問題点も伝えられます。読者に「どんな人物が何をどうする話なのか?」の説明ができれば、物語の自己紹介完了です。
物語の説明を闇雲に詰め込めば良いというものでもありません。主人公とヒロインの中身が入れ替わってしまったのが物語の主軸なのに、ヒロインの家族構成やら家族の職業やらペットの犬の事やらを事細かに説明してしまっては世界観がブレます。
あくまで“物語の自己紹介”である事を忘れずに。それも、読者の心を惹きつける“魅力的な自己紹介”でなければなりません。
どういった情報の説明を入れておくべきかハッキリとさせて、優先順位をつけておく事が大切です。そのためにはまず次の事をはっきりさせます。
この3点だけでワクワクするようなものを目指します。
あとはこの3点を魅せるために必要な説明を紙に書き出すだけ書き出し、重要度の高いものとそうでないものを見極めて優先順位をつけます。
これをもとに、“魅力的な自己紹介”を目指して、説明を組み込んでいけば良いわけです。
キャラのギャップを魅せたいなら2人のキャラが立つようなエピソードをたくさん組み込みます。
中身でどこまで変われて、いじめっ子に打ち勝つのか?を魅せたいなら2人の外見の違いや扱われ方の違いの説明、そこから中身が入れ替わった事で起こった変化の説明、そしていじめっ子の非道さや憎たらしさが伝わるエピソードをたくさん魅せて、読者に「これからどんな風に変わるんだろう?」「いじめっ子にどうやって勝つんだろう?」と期待を持たせます。
“いじめが無くなると思いきや無くならない。けど…”という展開を魅せるなら、読者に“どうせいじめが無くなる展開なんでしょ?”と思わせるフェイクになるような説明をたくさん忍ばせます。さらにオチである仕返しに繋がるような伏線を散りばめられれば最高です。仕返しで使うちょっとしたアイテムをさり気無く見せたり、偶然が重なってこちらに有利な展開にするなら偶然の起こるキッカケになるような小ネタをさり気無く忍ばせる事で、ラストでニヤリとくるような展開に持っていけます。
嵐の前の静けさとはよく言いますが、承もそんなイメージです。転で物語を大きく大きく盛り上げるためのちょっとした一休み。
と言っても何も考えずただ物語をすすめるわけではありません。起で入れなかった重要度のそこまで高くない説明や、起の説明の補助になるようなエピソードを組み込みます。
よりキャラが際立つような小ネタやギャグシーンを散りばめてみたり、転がより盛り上がるために読者に向けて謎を投げかけてみたり、ラストを鳥肌展開にするために伏線をたくさんはってみたり、などなど。物語をより盛り上げるためのさり気ない工夫をたくさん散りばめます。
注意点として、物語の軸をブレさせないために起の時点で決めておいた3点に基づくエピソード以外は入れないようにしましょう。
とくに読み切りはページ数的にこの3点から大きく外れたエピソードを入れる余裕はハッキリ言ってありません。全てのエピソード、全てのコマはこの物語の3点の軸をより魅力的にするためだけに存在する。そんな曇りなき純度100%の物語を目指しましょう。それが“わかりやすさ”に繋がります。“わかりやすさ”は物語作りの基本中の基本です。
面白い物語になるかどうかは、読者の予想を裏切れるかどうかにかかってると言っても過言ではありません。
でもここで注意してほしいのが、予想を裏切るのと期待を裏切るのは全くの別物だという事です。
例えばいじめられっ子の主人公の体に強気のモテモテのヒロインが入る事で、読者は主人公の見た目が変わる事でいじめが無くなる事を“予想”し、いじめられっ子主人公の心が成長し前向きに動く展開や、いじめっ子に勝ってスカッとする展開を“期待”します。
ここで、いじめが無くなるかと思いきや無くならないという展開は“予想の裏切り”です。“予想の裏切り”は読者を“え?嘘!この先どうなっちゃうの?”とさらに期待を膨らませるので◎。この“予想の裏切り”の幅が大きいほど物語は面白くなります。
ですが、期待を裏切られた場合はどうでしょうか。例えばさんざんいじめっ子に勝つ事を期待させておいて、オチが「いじめは結局無くならずいじめっ子に勝てる事は無かった。でも入れ替わった体は無事戻ったし、なんとなく主人公も前向きになったからこれから良い人生にしていけるかもね。」みたいなクライマックスだとどうでしょうか。
読者はきっとモヤモヤしてしまうでしょう。「なんじゃそしゃ!」と怒りすら覚える人も出てきそうです。
読者の“予想は大きく裏切り”読者の“期待には全力で応える”事が良い転をつくるポイントです。
いじめは無くならなかった(予想の裏切り)でもヒロインが頭を使いえげつない仕返しをして一旦勝つ(期待に応える)そこで終わりかと思いきや、中身は女の子なのでいじめっ子からの暴力には勝てず危険な状況に(さらに予想の裏切り)そこへ前向きな心に成長した主人公が勇気を出してかっこよくヒロインを助け、入れ替わった体も元に戻る(さらに期待に応える)
こんな感じで、予想はどんどん裏切って。でも期待は膨らませて膨らませてその期待に全力で応えていきます。ページ数も1番タップリ割いて。起や承の2倍以上のページ数でも丁度良いくらいです。
物語を魅力的にするためのエピソードは起と承でたくさんたくさん散りばめてきましたから、この起と承が上手く絡み合うことで読者はうなり、気分が高揚し、さらに予想の裏切りからの期待に大きく応えた展開…。間違いなく最高の転になりますよね。
大きく盛り上がりを見せた転。からの、読者が余韻に浸りながら現実に戻る結。とくに読み切りの場合は、この結はあまり長いとくどくなります。32ページなら2~4ページ程度のあっさりしたものでOK。
「主人公はどのように成長したのか?」「物語の問題点はどのように解決を見せたのか?」がサラッとわかる程度にします。ニヤリとくるような捻ったオチを持ってきても面白いですが、やっぱりクドくならないようにサラッと。もしくは心臓がヒュッと持っていかれてしまうくらい一瞬にして大きくかっこよくしましょう。ラストがあっさりしていると読者が余韻に浸る事ができて読後感が良くなりますよ。
起承転結からストーリーをまとめるコツについて解説しました。これを読んで、すぐにでも面白い話がつくれそうでワクワクしてくれたら幸いです。起承転結の基本に従ってあなたの中にある世界を最大限に魅力的に形にしちゃいましょう。きっととびっきり楽しいですよ。
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