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短時間で高クオリティを出すための下描き術

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デジタルでの漫画制作は機能もたくさんあって描き方は無限大にあります。その一例として、アシスタント無しで家事と育児をこなしながら月刊連載をこなしてきた筆者の、実際にデジタルで1作の漫画を仕上げるまでの工程をテクニックや小ネタを挟みながら解説していきましょう。

今回は『短時間で高クオリティを出すための下描き術』です。



新規レイヤーをつくって下描きを描いていきましょう。鉛筆の描き味により近づけたいときは表現色をグレーにすると濃淡も出ておすすめですよ。いろいろと試して自分が一番気持ちよく線を描けるものを探すといいですね。

下描きで大切なのは「完璧に描きすぎないこと」です。漫画はペン入れの線が本番なので、下描きで本気を出しすぎてしまうとペン入れで「下描きの絵の良さをペン入れでも出そう!」と力が入ってしまい線が硬くなる事が多いのです。

下描きはペン入れをするための土台と割り切って、ペン入れで良い絵が描けるように、とくに表情はペン入れ時に魂を込めるつもりで下描き時は顔のパーツの位置とだいたいの表情を描く程度にしましょう。



短時間で高クオリティを出すために、デジタルならではの便利な機能はどんどん使います。

位置がちょっと違うかな?サイズを少し変えた方がいいかも?そんなときは選択範囲ツールで編集します。移動したいときは選択範囲ツールで移動させたいところを囲ったあとにレイヤー移動ツールか操作ツールで。ドラッグして移動します。方向キーで少しずつ動かす事もできますよ。サイズの変更は「編集」>「変形」>「拡大・縮小・変形」でおこないます。

苦手な右向きを素早く描きたい。デッサン狂いを確認修正したい。そんなときは左右反転して作業します。ナビゲーターウィンドウに左右反転ボタンがあるのでこれを押すと簡単に左右反転できます。ショートカットキーに設定しておけばさらに簡単になりますよ。

下描きは時短を考えるとあまり画面を拡大しすぎないで、1ページの全体~半分が表示される程度のほどよく全体が把握できる倍率がおすすめです。ツールはやや太めの線で。こうすると細かく描けなくなるので、だからこそほどよく力を抜いて描くことができますし、全体を見ながら描けるのでバランスもとりやすく絵の勢いも出ます。

このようにデジタルで下描きをするとアナログにはない便利さがたくさんあります。ペン入れはアナログでするというプロでも、下描きはデジタルでする人は意外と多いです。デジタルで下描きしたものをアナログ原稿にプリントして、アナログでペン入れしスキャンしてパソコンに取り込むわけです。少々手間ですが、それ以上にデジタルでの下描きはメリットが多く、一度デジタルで下描きをしたらもうアナログには戻れないという作家さんも多いですよ。



3D素材を使えるのもデジタルの利点です。3D素材を手抜きに思う人もまだまだ多いようですが、いつの時代も新しく出た便利なものには反対意見が出るものです。今はもう当たり前になっていますが、昔スクリーントーンを多く使う作家が増えはじめたら、当時は手描きで濃淡や質感や背景効果を出すことが主流だったのでそれはもうバッシングが凄かったものです。

写真を加工して背景にする事もそうですが、3D素材もそういった流れのひとつで、馴染めばこのやり方がどんどん主流になるのではないでしょうか。出版不況で金銭的にアシスタントを雇う事が難しくなってきている現代において、これからデビューする新人さんはとくに、いかに1人で締め切り内にクオリティを高められるかが勝負になってくるでしょう。そのためには固定概念にとらわれないで使えるものは全て使っちゃいましょう。

3D素材の詳しい使い方は別講座にありますので参照してください。最初に背景のベースやメインアイテムを置きます。建物内部の3D素材などベースがある場合はそれを最初に貼りますが、今回のようにベースとなる3D素材が無い場合はメインとなるアイテムの素材を置きます。納得するまでいじったら線画化しましょう。

CLIP STUDIO PAINT 3D素材の基本的な操作方法



建物内部などのベースの3D素材があるときは、ベースの3D素材上に他の3D素材を置いて背景をつくりあげていきます。今回のようにベースの3D素材が無い場合は、メインのアイテムの3D素材をもとにしてパースをとり作業をしましょう。

レイヤーウィンドウを見ると、3D素材のレイヤーにパース定規がついていますね。これはドラッグ&ドロップで他のレイヤーに移動して使いまわせます。新規レイヤーにパース定規を移動させたら定規にスナップさせてパース線をざっくりと描き込みましょう。



このように3D素材のパースを使って線がひけます。ざっくりとグリッド線をなぞっても良いですし、作業しやすいように最低限の線をひくだけでもOKです。グリッドの画像素材をパース線にあわせて貼り付けても良いでしょう。

次回は素早く背景の下描きをつくりこむための子ワザをもっと踏み込んでご紹介します。お楽しみに。

CLIP STUDIO PAINTの3D素材は重い!必要スペックとおすすめパソコン

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