イラスト制作の基礎知識

遠近法の基礎知識を学ぶ

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遠近法とは

遠近法とは、3次元の空間を2次元に落とし込むため、平面の中へ「高低」や「遠近」、「広さ・狭さ」といった空間的な情報を正しく納めた技術です。一般的に「遠近法」という言葉は、ルネサンスの時代に確率され、消失点と水平線を基準に作画を行う「一点透視図法」や「二点透視図法」などでおなじみの「線遠近法」を思い浮かべる方が多いかもしれません。

ここでは「三遠」(高遠・深遠・平遠)といった東洋的な考え方の遠近法について紹介していきます。「三遠」は「線遠近法」と比べ、五感で感じる技法です。聞き慣れない言葉も多いですが、イラストを描く際に積極的に取り入れてみましょう。

覚えておきたい「三遠」

もとは山水画の構図理論で、中国が宋の時代に生まれた理論が「三遠」です。視点の位置によって異なる構図形式をまとめたもので、「高遠」「深遠」「平遠」という3つから構成されています。「高遠」は山の下から仰ぎ見る形式、「深遠」は山の前から後をうかがう形式、「平遠」は近山から遠山を見る形式という、非常に感覚的な遠近法になります。

イラストを描く上で、これらの技術を使うことによってそれぞれの技法は強調されます。なお「平遠」については、遠い距離感を表現する必要上、西洋の透視法に近い物があります。よりよく取り入れて活用していきましょう。

色覚遠近法


「色覚遠近法」は、心理的な要素と視覚的な効果を利用した空間表現法です。色彩と暖色と寒色のふたつに分けて考えたとき、暖色系の赤などは前方に迫り出す圧迫感を与えます。一方、寒色系の青などは、後方に向かって吸収されていくように感じます。また、同じ赤でも彩度が高い物は奥に引いて見えます。

ここでは「暖色で彩度が高い」場合にはせりだし、反対に「寒色で彩度が低い」ときには奥に引く、ことを覚えましょう。色彩遠近法は色彩が人間に与える資格・心理的特質を利用し、それぞれの色彩を変化や退避させることで空間を表しています。

色覚遠近法のPoint

  • 心理的な要素、視覚的な効果を与える
  • 色彩を暖色と寒色の二つで考える
  • 空間遠近法の一部も担う
  • 空間を手前と奥の感覚で表す

空気遠近法


「空気遠近法」は、大気の持つ要素を活かした空間表現法です。例えば山を見たときに遠景へ向かうほど、対象物は淡く蒼く、透明感を増していきます。遠景ほど輪郭線がぼやけ、かすんでいることがわかります。この性質から空気遠近法は、遠くにあるものほどぼやけ、透明感のある色彩で奥行きを表現していると言えます。空間遠近法は、塗りで活かしやすい方法と言えます。

空気遠近法のPoint

  • 大気の特徴がそのまま活かされている
  • 遠くへ行くほど線がぼやける
  • 遠くへ行くほど色は背景に溶ける
  • 着色と相性のよいのが空間遠近法

消失遠近法


「消失遠近法」とは、遠い物がぼんやりと見える仕組みに基づいた遠近法です。一見、空気遠近法にも似ていますが、空気遠近法が手前にある空気を意識させることで対象を遠くにあると錯覚させるのに対し、消失遠近法は奥をうっすらと描くことで、手前の対象を引き立てることが出来ます。

このテクニックは、カメラマンが写真撮影をするときに、背景のピントをぼかすことと同じ狙いがあります。

消失遠近法のPoint

  • 遠い物はおぼろげに見せる仕組みに基づいた遠近法
  • 空気遠近法との一番の違いは、遠近を感じさせる対象が奥にぼんやりと存在していること

塗りと遠近法

このように、「遠近法」一つをとっても1枚のイラストが完成されるまでの仮定には、複数のテクニックが盛り込まれています。使用ソフトを選ぶように、目的に合わせた技法を選び出すことができるように、思考を鍛えながら描いていきましょう。これ以外にも遠近法には多数の技法があります。

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