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クリエイター向けPCの選び方
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普通のパソコンとクリエイター向けPCの大きな違いはグラフィックボードを搭載しているか、搭載していないかです。普通のパソコンはCPU、メモリ、ストレージ、電源が主なパーツです。しかしクリエイター向けPCには必ずグラフィックボードが搭載されています。
この記事ではグラフィックボードの役割や重要性、そしてどれだけイラスト制作に影響を与えるかを解説していきます。
まずグラフィックボードとはパソコンに内蔵するパーツのひとつで、名前の通りグラフィックに関する処理をしてくれます。例えば液晶モニターへの表示、動画再生、ゲームの動作等の役割があります。
「私のパソコンはグラフィックボードを搭載していないけれど、液晶モニターも表示できるし、動作だって再生できてるよ!」と思ったあなたは鋭いですね。実はCPUやマザーボードにもグラフィックの機能があります。だからグラフィックボードなしでも映像を表示できています。
しかしCPUやマザーボードのチップセットに内蔵されているグラフィックス機能とグラフィックボードとでは性能が桁違いです。3DMARKというゲーム用の性能を計測してくれるベンチマークスコアで比較してみると、CPUだと500スコア、ゲーム用グラフィックボードのGeForce GTX980Tiだと14000スコアくらい出ます。こんなに差があるため、GeForce GTX980Tiだと最新ゲームがヌルヌル動く一方、CPUだと起動すらできないのです。
特に重いのが3Dです。ゲームでは2Dよりも3Dのほうが遥かに重いですし、クリエイターの作業なら3Dモデリング、CAD等にはハイエンドなグラフィックボードが欠かせません。動作が重いと無駄に時間がかかるので、作業効率が非常に悪くなります。処理が重すぎてソフトウェアが固まったり落ちたりすることもあります。だからクリエイター向けPCには必ずグラフィックボードが搭載されているのです。
イラスト制作で最も多く使われているソフトウェアはPhotoshopです。Photoshopではフィルターや3D、レイヤー管理、パス等はOpenGL、OpenCLで動作しています。このOpenGLやOpenCLの処理を得意としているのがQuadroシリーズというグラフィックボードです。
ではQuadroシリーズでフィルターを使ったらどれくらい早くなるのでしょうか。Quadroシリーズで人気のQuadro K2200を搭載したパソコンとグラフィックボード非搭載のパソコンとでフィルターの反映速度を比較してみました。
CPU | Core i7-6700K |
メモリ | 32GB |
ストレージ | 240GB SSD |
このパーツ構成で、Quadro K2200を搭載しているパターンとグラフィックボードなしのパターンの2種類用意しました。素材となるPSDファイルはキャンバスサイズが4066 x 4066 px、解像度が350dpiです。
私はPhotoshopでイラスト制作している時に「スマートシャープ」のフィルターをよく使います。でもパソコンのスペックが足りないと非常に時間がかかります。この時間って無駄ですよね。だから早く絵を描くためにもスマートシャープを始めとしたフィルターが反映される速度を重視しています。
Quadro K2200 | 3.2秒 |
グラボなし | 10.6秒 |
なんと3倍以上の差が出ました。もっと重いファイルの場合、グラフィックボード非搭載だと1分近くも待たなければなりません。1回だけならたった7秒だけの違いかもしれません。でもフィルターを多用するなら、グラフィックボードを搭載することで膨大な時間を節約できます。だからイラスト制作用PCにはグラフィックボードが必要なのです。
BTOメーカーのクリエイター向けPCには色々なグラフィックボードが搭載されていますが、大きく分けると2種類あります。QuadroシリーズとGeForceシリーズです。どちらもNVIDIAという企業が開発しているグラフィックボードですが、その役割には違いがあります。
簡単に分類するとQuadroシリーズはクリエイター向け、GeForceはゲーム向けです。もう少し細かく説明すると、QuadroシリーズはOpenGLやOpenCL向け、GeForceはDirectX向けです。
例えばPhotoshopやイラストレーター等Adobe製品はOpenGLやOpenGLで動作しています。他にもCADや映像編集ソフトもOpenGLなことが多いです。オンラインゲームのほとんどはDirectXで動作しています。だからゲーミングPCにはQuadroは搭載されていません。しっかりと役割が決まっているわけです。
しかしながらBTOメーカーのクリエイター向けPCを見るとQuadroシリーズだけでなくGeForceシリーズを搭載したデスクトップやノートパソコンがあります。不思議ですよね。実はGeForceでもOpenGLやOpenCLの処理がある程度できます。しかもQuadroよりGeForceのほうが安価です。
だからイラスト制作用PCでどのグラフィックボードを選べばいいか迷っている人は、以下の表を参考にしてください。
GeForceシリーズ | 趣味でイラストを描くだけ。 重いファイルは扱わない。 SAIしか使わない。 |
Quadroシリーズ | プロのイラストレーターを目指している。 プロとして活動している。 Photoshopのフィルターを使う。 解像度やキャンバスサイズは大きく設定する。 |
どのソフトウェアを使ったとしても趣味レベルならGeForceシリーズで充分です。エントリークラスだとさすがにスペック不足になる可能性があるので、ミドルクラスがおすすめです。GeForce GTX900シリーズならGTX950かGTX960、GeForce GTX1000シリーズならGTX1050かGTX1060がおすすめです。
でもあなたがプロのイラストレーター、あるいはプロを目指しているのなら絶対にQuadroシリーズを選んでください。K2200やM4000等、少しハイスペックなグラフィックボードがおすすめです。
また、GeForceとQuadroは色深度に違いがあります。GeForceは8bitカラーなので約1677万色を表現可能ですが、Quadroは10bitカラーなので10億6433万色に対応しています。Quadroのほうが思い通りの色を表現できますし、グラデーションが綺麗になります。
そして普段からQuadro搭載パソコンを使っていると、GeForceでは満足できなくなります。本気でデジ絵を書きたいならグラフィックボードはQuadroシリーズを選ぶべきです。
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