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クリエイター向けPCの選び方
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Photoshop、SAI、コミックスタジオ等、イラストや漫画を書くために様々なソフトウェアを使います。私も趣味や仕事でイラストを描いていますが、これらのソフトウェアがサクサク動くかどうかは非常に重要だと感じています。
パソコンのスペックが足りないと描くスピードが遅くなりますし、マウスカーソルが遅延して思い通りの線が描けなくて本当にイライラします。
パソコンのスペックといっても色々んパーツが関わるわけですが、特に重要なのはメモリです。もちろんCPU、グラフィックボード、ストレージも大切です。しかしメモリ量を増やすことでソフトウェアの速度が劇的に向上します。
おそらくイラスト制作で一番使われているソフトウェアがPhotoshopでしょう。私もメインでPhotoshopを使っています。できることが多く、SAIのような制約がない反面、Photoshopはメモリが少ないとどうしても重くなります。
ではメモリ量によってどれくらい重さが変わるのでしょうか。実際にPhotoshopの起動速度、読み込み速度、保存速度、フィルタの反映速度をメモリ量別に比較してみました。
使用したクリエイター向けPCは「DAIV-DQZ500M1」です。Core i7-6700K、Quadro K2200、SSDというパーツ構成です。詳しくはレビュー記事をご覧ください。
比較をわかりやすくするために大きめの素材を用意してみました。キャンバスサイズは4066x4066px、解像度は350、レイヤー数は239です。
64GB | 32GB | 16GB | 8GB | |
---|---|---|---|---|
Photoshopの起動速度 | 2.44秒 | 4.06秒 | 4.61秒 | 5.24秒 |
素材の読み込み速度 | 3.55秒 | 4.29秒 | 5.63秒 | 7.16秒 |
保存速度 | 4.34秒 | 4.44秒 | 4.57秒 | 6.17秒 |
フィールドぼかしの反映速度 | 2.24秒 | 3.24秒 | 2.90秒 | 2.90秒 |
スマートシャープの反映速度 | 2.64秒 | 3.20秒 | 3.28秒 | 3.21秒 |
Photoshopの起動速度は明らかにメモリ量が多いほうが早くなっています。素材の読み込み速度も同様です。基本的な快適性を求めるならメモリ量は多いほうがおすすめです。
しかし保存速度とフィルタの反映速度はそこまで大きな差が出ていません。保存速度はCPUとストレージ、フィルタはグラフィックボードの性能に依存しているからです。
ただしメモリ量が少ないとメモリがボトルネックになってしまうので、キャンバスサイズが大きかったりレイヤー数が多かったりする素材を扱うなら、最低でも16GBは搭載しておくべきです。
さらに大きなファイルでは何GB必要か比較してみましょう。仕事絵でもここまで大きなキャンバスサイズにすることはほぼないと思いますが、参考数値としてご覧ください。
64GB | 32GB | 16GB | 8GB | |
---|---|---|---|---|
素材の読み込み速度 | 9.49秒 | 11.3秒 | 1分3秒 | 1分32秒 |
保存速度 | 8.68秒 | 8.92秒 | 8.99秒 | 15.7秒 |
焦点領域の反映速度 | 3.97秒 | 4.70秒 | 6.28秒 | 19.2秒 |
フィールドぼかしの反映速度 | 7.72秒 | 9.61秒 | 9.79秒 | 10.1秒 |
スマートシャープの反映速度 | 11.9秒 | 15.0秒 | 14.5秒 | 15.3秒 |
素材の読み込み速度に大幅な差が出ました。64GB、32GBは問題ありません。でも16GB、8GBだとファイルを読み込むだけで1分以上かかっています。
焦点領域の反映速度もメモリ量が少ないと時間がかかっています。5秒以内なら気になりませんが、それ以上かかると相当イライラします。8GBだと19秒もかかっていますから、やはり64GBか32GBは欲しいところです。
もっと小さいキャンバスサイズも比較してみましょう。3000x1800pxくらいのサイズで絵を描く人は多いのではないでしょうか。
64GB | 32GB | 16GB | 8GB | |
---|---|---|---|---|
素材の読み込み速度 | 2.58秒 | 3.02秒 | 3.00秒 | 3.78秒 |
素材の読み込み速度 | 2.58秒 | 3.02秒 | 3.00秒 | 3.78秒 |
保存速度 | 4.17秒 | 4.14秒 | 4.33秒 | 5.80秒 |
これくらいならそこまでの差は出ていません。ただ、8GBだとちょっと足りないと感じるシーンもありました。だからやはり最低ラインのメモリ量は16GBです。
結論としてイラスト制作用PCを買う場合、趣味レベルならメモリ量は16GBをおすすめします。あなたがプロのイラストレーターなら、あるいはプロを目指すなら32GB搭載しましょう。さらに解像度やキャンバスサイズ、レイヤー数の多いPSDファイルを扱うのなら64GBがおすすめです。
PhotoshopではなくSAIでイラストを描く人もいると思います。SAIは動作が軽快だから私も好きです。しかしSAIには決定的な制限があります。
1つ目の制限はメモリ量に限界があることです。SAIの64bit版を使っても4GBしか使えません。2つ目の制限は大きなキャンバスサイズを設定できないことです。
この2つの制限により大きな素材を読み込もうとするとエラーが発生します。また、大容量メモリを搭載したクリエイター向けPCを使っても意味がありません。
例えメモリ64GBを搭載したパソコンを使っても、SAIでは4GBしか使えないので宝の持ち腐れとなります。つまりあなたがSAIでしかイラストを描かないのであれば、メモリ量は8GBか16GBがおすすめです。(他のことにもメモリを使うのである程度の余裕は必要です)
余談となりますが、メモリは「量」だけでなく「速度」も重要です。同じ8GBメモリでも速度が違えば快適性にも大きな差が生じます。
イラスト制作用PCを選ぶ際にメモリ量ばかり注目しがちですが、是非速度も確認してください。詳細なスペックに必ず記載してあります。
まずメモリには世代が存在します。現在の最新がDDR4です。その前がDDR3です。今のところBTOメーカーが販売しているイラスト制作用PCにはDDR4 メモリが採用されていることが多いです。ただ、DDR3 メモリのものも一部存在します。
では具体的にどれくらいの速度差があるのか比較してみます。
チップ名 | モジュール名 | 転送レート |
---|---|---|
DDR4-2133 | PC4-17000 | 約17.1GB/s |
DDR3-1600 | PC3-12800 | 約12.8GB/s |
BTOパソコンで人気のメモリを採用してみました。現在主流なのがDDR4-2133です。その前はDDR3-1600が人気でした。速度は33%も違います。価格はほぼ一緒なので絶対にDDR4-2133(PC4-17000)をおすすめします。
メモリはデジタル絵を上手に書くこと、そして上達速度に直結する非常に大切なパーツです。メモリが足りなくて良いことなんて1つもありません。だからイラスト制作用PCはまず第一にメモリを重要視してください。
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こんにちは!燈乃しえ(とうのしえ)です!絵師ノートはイラスト制作に役立つ情報をお届けします。イラスト制作の基礎知識、上達の方法、顔や背景の描き方など実践的な記事を取り揃えています。また、イラスト制作におすすめのクリエイター向けPCや周辺機器も紹介しています。