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「漫画は絵が下手でもストーリーが面白ければ良い」は本当?

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「〇〇は絵が下手なのに売れているから、ストーリーさえ面白ければ売れるんだ」と言う人をたまに見かけます。普通の読者なら良いですが、もし漫画家志望でこのような思考をしていたらちょっとストップ!「面白い」と感じさせる漫画を描くために必要なスキルは何なのか、今一度考えてみましょう。

ストーリーさえ良ければ「ストーリーが面白い」漫画ではない

漫画家志望の人の中でたまに「〇〇は絵が下手なのに売れているから、ストーリーさえ面白ければ売れるんだ」と言う人がいます。

中には、プロットの段階で完璧に面白い話にするんだと、テキストでストーリーを練りに練っている人も。

もしもテキスト上でプロットを何ヶ月もかけて練り込んでいるなら、ちょっと待って。こだわりを持つ事は素敵な事ですが、じつは「ストーリーが面白い」と感じる漫画は「プロットが良い」だけじゃないんです。

漫画の「ストーリーが面白い」=「ネームが抜群に上手い」

「ストーリーが面白い」と感じる漫画は、なぜ「面白い」と感じるのでしょうか。

プロットが良いからというだけで面白くなるのであれば、例えばすでに大人気の小説やゲームを原作に漫画を描けば誰でも面白い漫画が描けるはずです。

ところがそうでもなく、同じ原作を使っても描く人の能力で面白くなったりつまらなくなったりします。

それはなぜなのか。その理由は、漫画が面白くなるかどうかの最大の鍵は「ネーム力」にあるからです。

「ネームが抜群に上手い」かどうかが面白い漫画になるかどうかを大きく左右しています。

ではテキスト上での「ストーリー」と「ネーム」は何が違うのでしょうか。

ネームの上手さは演出力

テキスト上での「ストーリー」と「ネーム」の違い。それは漫画としての「演出」が加わっているかどうかです。

ネームの上手さは演出の上手さです。

コマやフキダシの大きさ、人物や小物の位置、構図、視線誘導、テンポ、あらゆるものを使って「プロット」=テキスト上でつくったストーリーを「ネーム」の上で演出し、感情を盛り上げたり、情景を伝えたり、迫力を出したりしながら、ストーリーを魅せていきます。

このネームの上手さ=演出力の高さが漫画の面白さを大きく左右しています。

何てことない日常を切り取っただけの漫画も、この演出力が高いと抜群に面白いものになります。

逆にテキスト上でのストーリーがいくら面白くても演出力が低ければストーリーの良さが伝わらず、つまらないものになってしまいます。

「ストーリーさえ面白ければ」と言っても、抜群にお面白い話を思い付けたら良いというような単純な話では無いんですね。

視線誘導について詳しく書かれた指南書を読み込んだり、たくさん漫画を読んで演出の研究をしたり、ネームの腕を磨きましょう。

「伝わる」レベルの絵が描けているかが大切

「ストーリーさえ面白ければ」と言う人の中には、それを理由に絵の練習をおざなりにしてしまっている人もたまに見ます。

抜群に面白いストーリーに抜群の演出のネーム。これさえあればもう大丈夫な気もしますが、「感情が何も伝わらない」「登場人物が何をしているかわからない」ものなら、せっかくのストーリーも演出も何も読者に伝わりません。

ストーリーが良いとして売れている人は皆、感情のしっかり伝わる表情と、ストーリーを読者にわかりやすく伝えられる絵は描けています。

「〇〇は絵が下手なのに売れている」と安易に思って絵の練習をおざなりにする人は、ここを見落としている事が多いです。

最低限のデッサンや描き分けを学んだり、伝わる表情の描き方を研究したり、シンプルな絵でわかりやすい画面にしたり、逆に荒々しい線で迫力を出したり。「読者に伝わる絵」を描く研究は怠らないようにしたいですね。

まとめ

もしも絵でなくストーリーの良さで評価されるタイプの漫画家になりたいのなら。テキスト上でストーリーを練るだけでなく、ネームの腕を磨いて漫画としての演出力を高め、絵が苦手でも感情や状況が「読者に伝わる絵」は最低限描けるようにしたいですね。

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