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プロがやっているプロット~ネームの描き方5選

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文章で大まかにストーリーをつくるのがプロット、紙にコマとセリフとざっくりとした絵を入れていくのがネーム。そうは言うけど具体的にどう描くの?実はプロットとネームはプロの漫画家でも描き方は十人十色。漫画家それぞれが試行錯誤の末に自分にあったやり方を見つけているんです。そんな中でもおすすめの描き方を5つご紹介。自分にあったやり方が見つかれば漫画がもっと上手くなりますよ。

超ミニネームを描いてからネーム用紙に清書する

ネームを描く前に、2~5cmほどの小さな長方形を見開きとして超ミニネームを描くやり方です。小さい中にコマワリとフキダシの位置、必要なら人物の位置だけ書き込み、脇にフキダシの中に入れたいセリフを書いていきます。

この超ミニネームでページ配分を考えつつ納得いくまで練った後に、編集部に見せるように清書します。

超ミニネームで練ってから丁寧に清書できるので、ネームの絵をそのままトレースして下描きにするプロも居ます。基本は違う描き方をしているプロでも、ネーム中に迷ったり下描き中に「このページのコマワリとセリフの位置イマイチだな…」と感じたときにこの超ミニネームを紙の隅っこにササッと描いて練り直す人も居ます。

PCでセリフを一気に書いてからネームにする

実際にやっているプロも多いので一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。プロットの段階で全セリフを決めるやり方です。PCにテキストで一気にセリフを書いて、それを元にネームを練ります。

ポイントは“自分の頭で考えずキャラに勝手に喋らせる”事です。このやり方の良いところは“キャラが勝手に喋り出す”感覚になりやすい事で、実際にそれを目的にこのやり方を取るプロは多いです。

「プロットでセリフを書いているときが一番キャラが動く」タイプの人と「ネームで表情や動きを描いているときが一番キャラが動く」タイプの人がいるので、自分はどっちのタイプなのか試してみると良いですよ。

セリフを付箋に書いていき貼り替えながらネームを練る

PCでセリフを一気に書く方法の応用で、付箋にセリフを書いていき、それをネーム用紙の上にペタペタと貼り位置を調整しながらネームを描く方法です。

ネーム用紙の上でコマワリとフキダシを描きつつセリフを書いた付箋を貼っていきます。付箋を動かしながらセリフの位置を調整したり、順番を変えてみたり、ページ数を見ながら削ってみたり、納得いくまで調整できたら最後に絵を描き込みます。

セリフの位置は視線誘導で場面を盛り上げるのにとても重要です。絵の入っていないセリフだけの状態で“視線の動きである程度場面を盛り上げる事に成功してるか?”を確認しながら描き進めると演出力もアップしますよ。

また同じ事が『CLIP STUDIO PAINT』の「ストーリーエディター」で出来るようになっています。フルデジ派の人は是非試してみてください。

全ページ数を1、2、3…31、32と書いてシーンを割り振る

ネームに取りかかる前にページ数の調整をある程度する方法です。紙の上に1、2、3…という具合に全ページの番号を書き、プロットを見て頭の中だけでネームを切ってみて“どのシーンが何ページかかりそうか?”予測をしながらページ番号の横にシーンや魅せたい事、シーンの中に組み込むべき説明や伏線などを描いていきます。

この方法の良いところは、ページの調整をしてからネームに取り掛かるのでネームを描き上げた後にページの調整のためにシーンを削ったり入れ替えたり…といった事がほぼ無くなる事です。ある程度頭の中だけでネームを切る必要があるので慣れが必要ですが、慣れると無駄なくハイペースでネームを切れるようになりますよ。

もう一つの良いところはページ全体のバランスを俯瞰で見ながらシーンを割振れる事です。例えば32ページ読み切りの場合、理想のページ配分は起承転結で言うと起6~8p、承6~8p、転10~16p、結3~4pくらいです。バランスよく配分出来ているか?魅せたいシーンのために十分なページを確保出来ているか?俯瞰で確認してからネームに取り掛かれば迷わずに描き進められますよ。

クライマックスを先に描いてからほかのページを練る

複雑に練り込まれたストーリーでなく、魅力的なシーンや演出とキャラクター性で魅せたい漫画の場合に有効な方法です。魅せたいシーンをページを気にせず思いっきり描いた後に、その場面を盛り上げるために他のページを埋めていくネームの描き方です。

プロットを描き終えたら、クライマックスのシーンをページを気にせず思いっきり描いてしまいます。一見行き当たりばったりになりそうですが、プロットで最初から最後まで展開をちゃんと決めてあるので、プロットを見ながらクライマックスのページに繋がるよう、クライマックスがより一層盛り上がるよう、計算をしながらネームを切れます。

この描き方の良いところは、1ページ目から順番に描いて「あと〇〇ページしな無い!」と焦りせっかくのクライマックスを思いっきり描けなかった、なんて事態を防げる事です。「せっかくのクライマックスがいつも駆け足になってしまう」という人はこのやり方で一皮剥ける事が出来るかもしれませんよ。

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