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ドスパラ raytrek-V LK 評価・レビュー

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「クリエイター向けPCにはグラフィックボードが必要か、それとも不要か?」という問題は非常に難しいです。もちろん用途次第なのでなんとも言えませんが、多くのクリエイター向けPCにグラフィックボードが搭載されているのは事実です。

でも今回レビューする「raytrek-V LK」は動画編集用パソコンのカテゴリに入っていて、グラフィックボードは非搭載です。エンコードを含めて色々な作業がどれくらい快適にできるのかを調査してみました。

raytrek-V LKのスペック

OS CPU
Windows 10 Home 64bit Core i7-7700K(4コア/定格4.20GHz/最大4.50GHz)
メモリ グラフィックボード
8GB(PC4-19200) なし(インテル HDグラフィックス630)
ストレージ チップセット
500GB SSD インテル Z270 チップセット
光学ドライブ 電源ユニット
DVDスーパーマルチドライブ 700W 静音電源 (AcBel製 / 80PLUS BRONZE)

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Core i7-7700K + メモリ8GB + グラボなし、というCPUに特化したデスクトップです。こういうパーツ構成のパソコンはあまり見かけないので興味深いです。

動画編集用パソコンでグラフィックボードなしですからCPUエンコードのためにCore i7-7700ではなくCore i7-7700Kを採用したのだと思われます。でも私ならメモリは16GBに増やします。

ストレージは500GB SSDでHDDなしというこれまた珍しい形式です。非劣化の動画素材を用意すると膨大な容量になりますから、2TB HDDか3TB HDDの追加をおすすめします。

電源ユニットはなぜか大容量です。これくらいのスペックなら500Wが普通だと思います。あとからグラフィックボードを追加してもまったく問題のない容量です。

raytrek-V LKの外観

raytrek-V LKのケース

raytrek専用のLD ブラックケースです。ベンチマークソフトを動作させている時にパーツの温度を計測したところ、あまり高温にはならなかったので、トップケースファンを追加する必要はなさそうです。



左側のサイドケースファンも追加しなくていいでしょう。このままで十分な冷却性能があります。



右側にはケースファンは追加できません。

raytrek-V LKのインターフェイス、接続端子

前面にはDVDスーパーマルチドライブとUSB3.0端子が2つ、SDカードリーダー、マイク入力、ヘッドホン出力、電源ボタン、リセットボタンがあります。



背面にはPS2端子、USB3.0端子が6つ、LANポート、マイク入力、ライン入力、ライン出力があります。またグラフィックボードが搭載されていないため、D-Sub、DVI-D、HDMIのいずれかの映像出力端子を使います。

raytrek-V LKの内部

左側を開けてみました。グラフィックボードがないのでとてもすっきりしています。ストレージの増設や交換のためには右側を開ける必要があります。



CPUファンはドスパラがおすすめしているDEEPCOOL製です。



マザーボードはASROCK Z270-Pro4です。グラフィックボードを追加する場合は「PRO」というロゴの上に接続するのが一般的です。これだけ拡張スロットが空いていればPCI SSDなど色々なパーツを追加できます。

raytrek-V LKの性能を評価

raytrek-V LKのエンコード速度、Photoshopの快適性、ストレージ速度、3Dの性能を計測しました。

エンコード速度をテスト

今回から動画のエンコード速度もレビューに含めることにしました。フルHD 60fps 4分43秒の動画をx264でフルHD 60fpsに再変換する形です。詳しい情報は以下のとおりです。

auo [info]: x264guiEx 2.51 / Windows 10 x64 (14393) / Intel Core i7-7700K @ 4.20GHz [TB: 4.40GHz] (4C/8T)
auo [info]: converting YUY2 -> nv12p, using AVX AVX2
auo [info]: x264 version: 0.152.2851 ba24899 –bit-depth=8 –chroma-format=all
auo [info]: x264 options…
–crf 23 –frames 17020 –input-res 1920×1080 –input-csp nv12 –fps 60/1

encoded 17020 frames, 53.12 fps, 6652.99 kb/s
auo [info]: CPU使用率: Aviutl: 16.12% / x264: 77.68%
auo [info]: x264エンコード時間 : 0時間 5分20.5秒
auo [info]: qaac (v2.64) で音声エンコードを行います。 ABR (AAC) ビットレート指定, 128kbps
auo [info]: L-SMASH muxer (r1450) でmuxを行います。映像: on, 音声: on, tc:off, chap:off, 拡張モード:なし
auo [info]: 総エンコード時間 : 0時間 5分25.1秒

ということでエンコードにかかった時間は「5分25秒」でした。そのうちGPUエンコードも試してみてどちらが高速か比較してみたいと思います(当サイトの別のレビューをご覧ください)。

Photoshopの快適性をテスト

Photoshopでお絵描きや写真編集することを想定して、性能を検証しました。

Photoshopの起動速度

検証内容 秒数
起動速度 2.62秒

PhotoshopをSSDにインストールし、起動速度を計測しました。衝撃的な速さです。メモリ8GBだと5秒くらいかかると思っていましたが、CPUが高性能だとこんなに早くなるんですね。

写真を50枚読み込み

検証内容 秒数
読み込み速度 27.73秒

6000 x 4000pxの写真を50枚開いて、読み込みが完了するまでの速度を計測しました。起動速度と同様にメモリ8GBとは思えない高速さです。Photoshopをよく使うならCPUを最優先で強化したほうが良いのかもしれません。

1500px × 900px、レイヤー数239、解像度120dpiの場合

検証内容 秒数
読み込み速度 1.20秒
保存速度 1.25秒
焦点領域の反映速度 2.74秒

これまでレビューしてきたクリエイター向けPCのなかでもトップクラスにサクサクです。グラフィック性能が重要な焦点領域の保存速度も短時間で終わっているのは意外でした。

3000px × 1800px、レイヤー数239、解像度120dpiの場合

検証内容 秒数
読み込み速度 2.54秒
保存速度 4.27秒
焦点領域の反映速度 5.12秒

読み込みと保存は5秒以内でさっくり完了しました。これくらいサクサク動いてくれれば作業が本当に快適になりますよ。

5000px × 3000px、レイヤー数239、解像度120dpiの場合

検証内容 秒数
読み込み速度 6.44秒
保存速度 8.81秒
焦点領域の反映速度 7.16秒

ここまで巨大なファイルを扱っても10秒以内に収まっています。動画編集だけでなくお絵描きや写真加工にも向いているデスクトップです。

ストレージの速度

CrystalDiskMarkでSSDの速度を計測しました。上述したようにHDDは非搭載です。

SSDのシーケンシャルリード(連続読み込み速度)は529.3MB/s、シーケンシャルライト(連続書き込み速度)は504.7MB/sです。連続アクセスは完璧です。またランダムアクセスもかなり高速な部類です。

Luxmark(OpenCL)

OpenCL用ベンチマークソフト「Luxmark」のスコアは2564でした。CPU内蔵グラフィックスなら2500前後になることが多いです。グラフィックボードがあるのとないのとでは大違いです。例えばGeForce GTX1060なら12000くらいまで伸びます。

FurMARK(OpenGL)

3DCG制作ならOpenGLの性能が重要になります。特にCADがそうですね。493というスコアはかなり低いです。Quadro P2000なら3000以上出ます。

3DMARK FireStrike

3DMARK FireStrikeは1119でした。同じ3D性能でもこちらはゲーム用途です。最新のオンラインゲームをプレイしたいならせめて10000以上のスコアは欲しいところです。そのためにはGeForce GTX1060以上が必要になります。

3D性能はいまひとつですが、動画編集を始めとしたクリエイター用とでは素晴らしい性能を発揮してくれました。値段はかなり安いですし、初めて買うクリエイター向けPCとしては最適なデスクトップではないでしょうか。

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